2号線に乗って広安里に着く前、列車は門峴坂の地下を通り過ぎて大淵洞に着く。'大淵'とは、大きな池という意味で、1950年代までここに大きな池が3つもあった。昔は'モッコル(韓国語で池の谷という意味)'だった。大淵洞は何気に立ち寄るところではない。遠足に行くつもりでいて欲しい。都市鉄道の駅を降りると、どこに遠足場所があるのかと思うだろうが、UN記念公園方向へ10分ほど歩くとわかる。大淵洞は釜山で数少ない平地だ。上り坂がほとんどない平地に釜山博物館、UN記念公園、樹木園が互いに隣り合っている。休日に子連れでここへ遊びに来る家族もかなり多い。近くに繁華街もなく、都心で静かな時間を過ごすことができるからだ。
釜山博物館は意外とデートコースにいい。1978年に開館したときと大きく変わってなく、この頃ちょこちょこ建てられる新しい施設と違って、重厚さをかもし出している。釜山で学生時代を過ごした人なら、ここへ体験学習に来たことがあるはずだ。そのときは、数百人もの団体で来て、列に並んで互いの背中を押しながら見学しただろうから、頭の中に入るわけもない。そんな何気に見ていた遺物を改めてじっくり見ることができる。歴史の大枠は理解しているものの、実際に遺物を見ると、勉強したときのことを思い出してなかなか面白い。勉強嫌いだったから思い出せないという人も心配無用。1日に3回、ボランティアスタッフが解説してくれる博物館ツアーもある。予約をしなくても定められた展示説明時間に合わせて行けばいい。解説は午前10時と11時、午後2時開始。
博物館の裏側にある広々としたUN記念公園は、1951年にできた世界で唯一のUN墓地。朝鮮戦争で戦死したUN軍の兵士たちの遺骸を安置している。1970年代、釜山に大きな公園がそう多くなかった頃だったので、追悼の目的でなくても、人々は行楽地としてここを訪れた。釜山で生まれ育った人のアルバムには、幼い頃にここで撮った写真が一枚は必ずあるだろう。2000年代に朝鮮戦争50周年のUN記念公園国際彫刻シンポジウムが開かれた。21カ国の作家が寄贈した作品34点で墓地の裏側に彫刻公園が造成された。芝生も広く、散策路もあって憩いの場に適している。特に、地面から水が出てくる噴水は、子供たちに大人気。びしょぬれのままはしゃぐ子供たちの姿は微笑ましい。デートで来たのなら、彼女の耳元でささやいてみよう。「僕たちもあんなかわいい子供が欲しいね?」 感動するか、引いてしまうか、結果は神のみぞ知る。
大淵樹木展示園もUN記念公園のすぐ隣にある。博物館、公園、樹木園がすべて備わっているのだ。以前は苗畑だったが、今は約600種の樹木を展示した自然体験場。木や花が好きな人たちにおすすめ。針葉樹園では、どれも似通った松の木にもそれぞれ名前があることを知る。樹木園に立ち寄れば、街路樹の名前も結構当てられるようになる。
道一本を隔てて、立派な建物の釜山文化会館が見える。釜山で大型公演がよく開かれる場所の一つで、休館日を除けばほとんど毎晩公演が行われる。公演の日程を確認しておけば、周辺観光の後に素敵な夜の時間を過ごすことができる。