約150年前に亀浦市場が初めて文献に登場した。亀浦は文字通り亀の形をした港いう意味で、昔から洛東江を往来する船は亀浦に必ず立ち寄った。入ってくる物流も出て行く物流も多く、自然と市場が形成された。ここは、ある種の総合ターミナルだ。丁酉再乱(慶長の役)のとき、日本軍がこの港を見下ろせる丘に城を築いた戦略的要地でもあった。釜山で一番早く鉄道と銀行が設立されたほど、亀浦は商業と物流の中心地だった。
亀明駅は亀南駅と一直線につながっている。亀明駅のホームから線路の向こう側を覗き込むと亀南駅が見える。森を見るためだけに、遠くまで行く必要がある?と思ったのであれば大間違い。亀浦のポムバン山の林道は、釜山で初めて体が不自由な人のためにつくられた森の散策路だ。亀明駅から10分ほど歩くと'無障害林道'が出てくる。亀浦のポムバン山に造られたこの林道は、文字通り障害が全く問題にならない林道だ。車イスや補助器具を使って山を登るのはとても大変なことだが、北区は誰でも森を楽しめるよう、ポムバン山の森の中に1.2kmの木製デッキの道を整備した。階段もなく、電動車イスでなくても散策することができる。30m間隔に待避スペースがあるので、前の人を無言で急かす必要もない。散策とは各自のペースで歩くことであって、ここでは歩きながら森林浴を楽しむことだ。
無障害林道には、ベビーカーを押して歩くお母さんたちがよく遊びに来る。ベビーカーが通れるような道は、たいてい車が横を走る歩道で、子供に自然の森を見せてあげられる機会は少ない。散策路の木製デッキの道を見て、初めからこうつくるべきだとも思う。障害者に配慮した施設がそう多くない釜山で、この林道は景色もさることながら意味合いも大きい。亀岩、宰相岩、兄弟岩などの奇岩怪石を見る楽しみもある。展望台に上がると、金海空港と曲がりくねった洛東江を見下ろせる。
森を抜けて亀浦市場へ向かう。誰かしら捉まえて聞いてみれば、みんな一つの場所を指差すだろう。短くて150年、長くて400年の歴史があるこの市場を知らない人はいない。もとは渡船場にあったが、1933年に現在の場所に移った。アーケードがいたるところに設置されていて、公営駐車場が近くにある。一般的な市場と五日市の両方があり、大型スーパーにも劣らない色々な品物が売られている。八百屋通り、水産物通り、薬草通り、食べ物通りなどに分かれていて、路地を右往左往する必要がない。とても大きなこの市場は、あらゆる物を扱っているので、見たくないような物も目にするかもしれないことを、あらかじめ知っておこう。彼女が動物好きなら家畜市場の方には行かないほうがいい。
食べ物は色々あるが、やはり市場で食べるなら麺。それも亀浦グクス(素麺)。3,000ウォンでたっぷり入った一人前が出てくる。戦後、亀浦には麺工場が多く、物干し台みたいな乾燥台を外に出して麺を乾かしていた。これが亀浦グクスの始まり。海に近い川風だから麺は少ししょっぱい味がした。今は室内で熱風乾燥させているが、昔の麺は自然の風で乾かしていたから塩気があってコシももっとあったそうだ。気になる食堂を見つけたら、そこで亀浦グクスを注文しよう。立ち食いのような店からきれいで大きな店まで食堂も色々。サッパでとった出汁と薬味で麺をズルズル。う~ん!素朴な亀浦の味だ