市民公園がハヤリア基地だった時代があった。日本統治時代、競馬場だったここは朝鮮戦争後に在韓米軍基地に変わった。日本が戦争に負けた後、米海軍艦艇プレスカットの隊員が八埠頭に上陸した。基地の名前は、ある隊員の故郷・フロリダ近郊のハイアリアという町の競馬場に似ているからという説や、部隊の初代司令官の故郷がベース・ハヤリアだったからという説もある。いずれにしても正式名称はキャンプハヤリア。2006年に基地は閉鎖され、2014年に市民公園として生まれ変わった。
釜田駅は西面と楊亭の間にある。釜田市場と反対方向の楊亭交差点に向かって歩くと、宋象賢広場に出る。広場になる前は小さな芝生と花壇、銅像しかなかった。草梁にある鄭撥将軍の銅像とここにある宋象賢の銅像を混同する子供が多かった。あるいは、どちらも李舜臣将軍の銅像だと信じている子供もいた。李舜臣将軍はソウル、釜山には鄭撥将軍と宋象賢府使がいる。この二人は文禄・慶長の役初期に、東莱城で日本軍との戦いに敗れたものの、最後まで降伏せずに殉死した朝鮮中期の文臣だ。
今の広場になる前は、広い三差路のど真ん中に、宋象賢の象がぽつんと立つわびしい雰囲気だったが、2年かけての改築工事で大きく変身した。道路の真ん中に野外公演場やカフェまである公園は珍しい。イベントができるほどの広い芝生広場もあるので、都心のジャズパーティーなんかもよさそうだ。
宋象賢広場の次は釜山市民公園へ。ハヤリア基地があった場所に造成された公園だ。公園に行く前に、ネットで市民公園の名所ベスト12を調べておけば、公園の見所をくまなく回ることができる。5種類の木でそれぞれ違う林が造られた5大林道から歩いてみよう。イチョウ、ケヤキ、桜、松、ホオノキ。都心の街路樹によく使われる木々だ。桜並木の横には釜田川が流れ、夜は4万㎡の芝生広場に明るい照明が灯る。夜になれば真っ暗になってしまう公園とは違う。「記憶の林」はハヤリア基地の時代からあった90本以上のプラタナスの林だ。想像してみよう。もしかしたら、この林は私たちが生まれる前からあって、日本人が競馬に興じていた時代にも黙々とこの場所にあったかもしれない。高さ25mの人工滝や迷路庭園もある。迷路はどんな人だろうが不思議の国へと導く。米軍副士官の宿舎を改造した文化芸術村には5つの工房と2つの小さな公演広場、2つの展示室がある。こんなにたくさんの施設があるのに、釜山市民公園には段差がないのが一番のポイント。障壁や障害がない。どの施設も車イスで入ることができ、障害者、お年寄り、小さな子供が安全に観覧でき、建物ごとにスロープも設置された。
63番、54番、83-1番のバスに乗ると「ザ・パーク」に着く。聖知谷動物園が動物テーマパークに変わった。草邑の聖知谷遊園地の中にある。動物園は子供たちの夢の世界であり、立派なデートコースにもなりうる場所。映画<ジョゼと虎と魚たち>のジョゼも、好きな人ができると動物園に虎を見に行った。綿アメと動物キャラクターのカチューシャ、カメラを持ったら動物園行きの準備完了。釜山市民公園に立ち寄ってもいいし、午前中ザ・パークに行ってから市民公園と宋象賢広場を回るのもいいだろう。
草邑からバスに乗って西面に戻り、西面一番街そばの屋台通りに行くと、お腹を満たせる食べ物がずらり。ゆで豚スープがけご飯や鶏一羽をまるごと揚げたもの、釜山特有の真っ赤なトッポッキが通りに並ぶ。お腹いっぱいになったらショッピングセンターを回り、大通りを渡って西面特化街を抜けてカフェ通りに行こう。バリスタが焙煎したコーヒー豆に牛乳の泡を注いだラテを一杯。今日一日で公園、動物園、屋台通りを回ることができるのも釜山だからだ。